研究課題
本研究の目的は、健康の社会的決定要因の観点から、沖縄において高齢者の健康長寿の要因と中高年世代の健康状態悪化の要因について両側面から検討を行うことである。沖縄は、社会経済的環境からは地域内・地域外格差が大きい地域だと報告される。一方で、平均寿命の2013年3月公表値までは、本土復帰後継続して日本一の健康長寿が達成されてきた。本研究では、社会疫学の理論として提唱された社会階層性理論から考えると、沖縄の健康長寿が説明できないことに着目し、人と人のつながりや、地域の性格特性など、社会経済的な格差を健康の格差につなげない何らかの要因が沖縄社会に存在したことを仮説した。本研究では、地域のつながりが強いと言われる沖縄において、ソーシャル・キャピタル(以下SC)と個人のポジティブ心理資源に着目して、高齢者世代を中心に約8,000名の対象者に、質問票調査と介護保険データ、健診データの突合による健康との関連を評価した。加えて、全国他地域との比較を通じて沖縄の地域特性の理解に努めた。本研究では、沖縄に特有な地域資源として、模合やユイマールを地域のSC資源の一つと捉え、Bridging型/Bonding型SCが健康状態に対して、それぞれ異なる関連性を示すことを報告した。これは地元新聞で1面に取り上げられるなど地域の関心の高さに応える結果となった。加えて、検診受診行動が、SC指標(地域の組織参加、信頼感の高さ、互酬性の規範の高さ)が高い者ほど高い関連性を示した。結果は、特定健診受診率アップのための地域の取り組みについての、質的検討とも合致した。本研究から沖縄における地域のSCと健康の関連が示され、健康日本21などにも提案されるように、ソーシャル・キャピタル等の地域資源を活用した、健康行動の変容や健康長寿復活のための取組の重要性が示唆されたと考える。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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