研究概要 |
本研究は、自発的身体活動・運動行動誘発のメカニズムを、遺伝子多型からアプローチをして解明することを目的としている。当該年度は、横断的データにおける自発的身体活動・運動行動とグレリン(GHRL)、メラノコルチン4受容体(MC4R)、レプチン受容体(LEPR)遺伝子の多型との関連について検討を行った。23歳から83歳の571名の健康な男女を対象にGHRLのR51Q, L72M、MC4RのV103I、LEPRのE223RをTaqMan法により決定した。身体活動量については、平均歩数が10795.3±3407.8歩であり、また3METs以上の強度における週当たりのMETs・時は、平均27.3±14.3METs・時であった。遺伝子多型の頻度は、GHRL R51Q : RR 100%、GHRL L72M : LL 63.9%, LM 32.0%, MM 4.0%、MC4R V103I : VV 98.8%, VI 1.2%、LEPR E223R : EE 76.7%, ER 22.9% RR 0.4%であった。GHRL L72Mの3多型(LL, LM, MM)およびMC4R V103Iの2多型(VV, VI)、LEPR E223Rの2多型(EE, ER)において、身体活動量に差があるかを検討したところ、すべての多型において歩数およびMETs・時に差は認められなかった。そこで、身体活動量を低強度身体活動量、中強度身体活動量、高強度身体活動量、不活動の時間に分け、それらについて多型別に差があるかを検討した。その結果、LEPR E223R多型において、EE遺伝子型は、ER遺伝子型と比較して、低強度の時間が少ない傾向にあり、また不活動の時間が有意に多かった。レプチン受容体は、摂食行動やエネルギーバランスに関与していることが報告されているが、これは一部、身体活動量の多寡を介してエネルギーバランスに影響している可能性を示唆している。
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