日本で問題となっている生活時間の男女差、特に有配偶男性の家事時間が絶対的、相対的に少ないことについて、これまで未成年期の経験がどの程度重要であるのかについて分析がされてこなかった。男性の家事参加は少子化対策としても重要であり、その規定要因の解明には社会的な要求も大きい。こうした問題についての直接的な先行研究は、いまのところないが、成人の行動について、その未成年期の影響が非常に大きいことが指摘されている。そこで本研究では、日本とフランスの生活時間データを使用し、未成年期から家族形成期にかけての生活時間の比較分析をすることで、男女差が生じる要因とその解消策について検討する。 今年度の研究計画は(1)資料収集、(2)データの入手と分析であった。 (1)については、フランスの生活時間調査"Emploi du temps"を実施しているINSEE(フランス国立統計経済研究所)で調査に関する聞き取りを行ったほか、同じくフランスにあるOECDのEmployment Analysis and Policy Divisionで、フランスにおける生活時間の現状について聞き取りを行った。さらにオーストリアで行われたEuropean Population Conferenceで生活時間に関する報告を行ったほか、資料収集を行った。 (2)データの入手と分析については、日本の生活時間調査「社会生活基本調査」(1986年、1991年、1996年、2001年、2006年)の使用申請を行い入手した。同時に、フランスの生活時間調査"Emploi du temps"(1966-67年、1974-75年、1985-86年、1998-99年)の申請を行い入手した。これらのデータを使った分析結果は2011年8月にイギリスで行われるIATUR(国際生活時間学会)で報告することが決まっている。
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