本研究は、食の孤立が問題となっている高齢期を対象ライフステージとし、高齢者が地域包括支援センター等で開催されている介護予防教室に参加すると同時に、教室の前後に給食を摂取する機会を設け、共食(誰かと一緒に食事をすること)によって栄養摂取と社交を同時に行うことにより、共食が高齢者の健康に寄与することを明らかすることを目的とした。平成24年1月に予定していたすべての教室が終了した。この研究で得られた結果のうち、参加者の健康意識を調査したアンケート調査結果についてまとめ、平成24年12月8日に第3回ヒューマンサービス研究会&第4回対人援助学会年次大会にて発表した。共食実施コースに参加した者は、共食未実施コースに参加した者よりも食事内容の見直しや体調の見直しができたと回答した者が多かった。また、参加者同士の交流がよくできた、毎日の生活の中で家族や近所の人との交流が増えたと回答した者が多かった。さらに、コース終了後から6か月経った時点においても体調がよくなったと回答した者の割合が多かった。講義と共食を組み合わせたことにより、参加者同士の交流ができたと考えている者の割合が多く、共食が社交の役割を果たしていたことが考えられた。また、給食を用いて講義で得た知識を即時に確認できたことが食事内容の見直しや体調の見直しができたことに関係していると考えられた。以上のことから、参加者の健康意識は、講義と共食を組み合わせた形式の方が講義のみの形式よりも高くなることが示唆された。引き続き、身体計測値と食事調査の結果を合わせた解析を行い、考察を行う。
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