<研究目的>2010年度は「着こなし方」に関わる中学生、高校生、大学生の着装規範意識と着装に関する教育経験を明らかにし、2011年度は着装衣服と着用場面のふさわしさ(適合性)をどのように捉えているのかを検討した。本年度は、衣服と着用場面の適合性評価を行う際に抱く感情を明らかにし、最終目標である指標の構築に向けた客観的情報の収集・分析を試みた。 <調査対象者と調査内容>調査対象者は中学生(1~3年生)717名、高校生(1~2年生)80名、大学生(2年生~4年生)161名の計958名であり、2012年9月~10月に調査を実施した。調査内容は、1)場面と衣服デザインの適合性評価時に抱く感情、2)場面と着装衣服色の適合性評価時に抱く感情、3)制服の着用方法により抱く感情について、4)制服の着用方法の4項目とした。 <結果・考察>場面(結婚式、葬式と通夜)と衣服のデザイン(4種類)・色(4色)との適合性評価時に抱く感情を評価させた結果、「当たり前、真面目、きちんとしている」などの肯定的感情を生起させた。一方、場面に不適合な衣服は「恥ずかしい、かっこ悪い、不愉快」など否定的感情を生起させた。学校・街中いずれにおいても、制服を正しく着用している人を見た場合に「安心する、当たり前、真面目、きちんとしている」の肯定的感情が生起し、正しく着用していない人を見た場合には「個性的」の感情が強く現れ、否定的感情も生起した。学校・街中の両場面において制服を正しく着用する人は「当たり前、真面目、きちんとしている」の感情を抱いて制服を着用し、正しく着用しない人は「個性的、おしゃれ、安心する、当たり前、かっこいい」の感情を抱いて制服を着用していた。制服を正しく着用しない人は「おしゃれ感」を抱いて制服を着用しているが、周囲は個性的・否定的感情を抱くため、この結果を指標に取り入れ、教育・指導する必要性が示唆された。
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