健康な高齢者が活動的に生活するためには,外観と安全・機能性を備えたズボン設計が求められる.そのための基礎研究として,まず,高齢者のズボンの着用実態と着用時の問題点および求められるズボン設計の要件を明らかにすることとした.次に,標準的な体型の高齢女性をモデルとしたズボンの着装姿について,異世代である若年者と着装者と同世代である高齢者の審美意識を調査することとした.加えて,アイマークレコーダーを使用し,身体のどの部位に着目して評価しているのかを捉えようとした.さらに,ズボンのデザインおよび着脱時の姿勢によって着脱の難易性が異なるのかを重心動揺計測により捉えることとした. 本年度は昨年度までに得たデータを基に分析を進め,学会にて,高齢者のズボン着脱時の重心動揺についての発表をした.さらに昨年度までに学会発表を終えていた,高齢者のズボンの着用実態と着用時の問題点について,および,若年者のズボンデザインや着脱時姿勢による着脱の難易性についての2件を論文にまとめた.これらの論文はすでに投稿を終えており,いずれも掲載または掲載決定に至っている.
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