研究概要 |
1.文献及び資料収集・整備:東アジアのモチの種類,用い方,精神的意義などの把握 本年度は,『台灣原住民影像誌 布農族編』『台溝原住民影像誌 鄒族編』『實夏史話-矮霊祭』『台灣原住民族祭典的盛会』等,台湾の原住民のモチ食文化に関する文献を収集することができた.台湾では,主としてアワを使用していた. 2.モチ食文化の実態調査(タイ,中国,台湾へ現地調査) 1)タイ調査:平成22年8月3-17日ラフ族,モン族の調査をした.(1)ラフは,正月(女正月)の時にモチを搗く.杵は竹であり,節目でモチを搗く.臼は,横型で1mほど,かまぼこを逆さにしたような形状である.各家で搗いたモチは,各家々の祖先を祭る棚に供えられる.また村の長老の家に集められ,祈りがささげられ,その後村人に再分配される.(2)モンは,12月にモチを搗く.横杵2本,臼は舟形で,両端から2者が交互に手前に引くようにモチを搗く.搗く前に杵と臼に蜜ろうを塗る.他の民族とは異なり,煎ったゴマ等と入れながらモチを搗かない.モチをまるめる時は卵黄を手につける. 2)中国調査:平成23年8月13-17日雲南省の西双版納(シーサンパンナ)に居住するタイルー族は,4月13-15日(タイ族の正月)にチマキを作る.モチ米を黄色い花で色付けし,寺へ持っていく.高齢者の一部は日常食として,小型の木製の杵と臼で,モチ米とエゴマを入れて搗くが,現在多くのタイルーはモチを搗かない. 3)台湾調査:平成23年8月27日~9月4日台湾の原住民は米ではなくモチアワを使用し,縦杵,縦臼でモチを搗いていた.今日モチ搗きはほとんどせず,観光として行われていた.伝統文化は,民族の行事だけなく観光という側面で,維持継承されることが明らかとなった.
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