本研究では、とろみの評価としてこれまで用いられてきた物性測定に合わせて、人がとろみを確認する際に多くの情報を得る「視覚」に着目し、画像処理によるとろみの新たな指標の構築を目的とした。触覚である物性測定だけでなく視覚となる画像処理結果を加えた評価は、人の感覚に近い評価が可能となる。これによりとろみ調整食品や目安となる食品を本手法にて比較・評価することで、とろみの伝達に最適な食品の選定が可能となり、とろみ調整食品のより明確な情報提供が期待できる。 平成22年度は、とろみの特徴を視覚から得るための表現方法を考案し、とろみの形状や動きの特徴を数値化するための画像処理システムを構築した。 (1)とろみの特徴を視覚から得る表現方法の考案 人が視覚でとろみを確認したときにとろみの違いがわかる状況を、再現性のある撮影器具を用いて表現するために、とろみが異なる様々な食品やとろみ調整食品の流れる様子や広がりを観察した。その結果、とろみの強弱によって半球から流した際の輪郭や、平面上で広がる面積変化に違いがみられたことから、この2つを視覚におけるとろみの特徴を表現する方法として考案した。 (2)とろみを数値化するための画像処理システムの構築 とろみを表す特徴を具体的に抽出するために、(1)の装置やカメラ、PC等で構成された撮影器具を作成したことで、(1)で得られた形状や動きの変化を撮影でき、かつ再現性を持った画像処理システムを構築した。
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