研究課題/領域番号 |
22700742
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研究機関 | 岐阜女子大学 |
研究代表者 |
櫟 彩見(岩田彩見) 岐阜女子大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40434493)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 嚥下食 / 物性測定 / とろみ調整 / 画像処理 |
研究概要 |
嚥下困難者に欠かせないものとしてとろみ調整食品がある。しかしとろみ調整の難しさは利用者の負担であり、とろみの指標の確かな伝達が必要である。そのためとろみ調整食品では、利用者にとろみを伝達する方法として、身近な食品を用いて表現している。ところがとろみを調整する際、人は触覚と視覚で確認を行っているが、とろみの評価は物性測定にとどまっている。そこで本研究ではとろみ評価として、これまで用いられてきた物性測定に加えて、人がとろみを確認する際に多くの情報を得る「視覚」に着目し、画像処理によるとろみの新たな指標を構築した。とろみ調整食品や目安とする食品を本手法にて比較・評価することで、とろみの伝達に最適な食品の選定が可能となり、とろみ調整食品のより明確な情報提供が期待できる。 1.とろみを視覚から数値化する画像処理システムの完成 22年度に構築した画像処理システムをさらに改良し、視覚の特徴を数値化する方法として、①高速度カメラを用いた垂れる際の形状の比較 と、②広がる際の面積変化 の2つの方法を提案した。そして実際にとろみ調整食品の目安として用いられる食品7種について、それぞれ撮影して特徴を比較した。その結果、とろみの強弱によって①②とも特徴が異なり、粘性との関係があることを明らかにした。 2.とろみ調整食品や目安とする食品の物性測定および画像処理による比較 目安とする食品の数値化を①②の方法により実施した。その結果、1つの数値とするのではなく、それぞれの特徴について、とろみ調整食品と目安とする食品の類似度から、とろみの伝達に最もふさわしい食品を選定する方法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
画像処理システムが完成し、とろみ調整食品と目安とする食品の比較方法を確立したため
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今後の研究の推進方策 |
新たな指標の構築に向けて、目安とする食品の違い(表現の違い)やメーカーの違い、主原料の違いについて、とろみ調整食品と目安とする食品を画像処理システムで撮影し、24年度に確立した類似度を用いた比較を行う。このとき、画像処理に加えて物性測定や官能検査も適用し、総合的にとろみ調整食品のとろみの表現の適切さについて考察する。 なお研究計画では、とろみ調整食品と目安とする食品について群に分けて判定するとしたが、とろみ調整食品もメーカー・主原料・表現等多様であるため、上記の通り条件を絞ってより明確な指標の構築を目指す。
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