要介護者の対応が重要となる高齢化社会において、嚥下困難者に欠かせないものとしてとろみ調整食品がある。しかし要介護者の求めるとろみ具合に調整するのは難しく、利用者の負担となっており、負担を軽減するためにはとろみの確かな伝達が重要となる。そのためメーカーは、利用者にとろみを伝達するために身近な食品を用いて表現しているが目安として示す食品は様々で、利用者にはわかりにくい現状となっている。 とろみを調整する際、人は触覚と視覚で確認を行っているが、とろみの評価に関する研究は物性測定にとどまっている。そこで本研究ではとろみの評価としてこれまで用いられてきた物性測定に加えて、人がとろみを確認する際に多くの情報を得る「視覚」に着目し、とろみの視覚情報として広がる様子と垂れる様子を考案し、画像処理にて数値化した。そして市販の食品において物性(粘度)と画像処理の結果に高い相関があり、本研究の有効性を確認した。さらにとろみ調整食品が示すポタージュスープ状ととんかつソース状について、市販の食品と、各濃度に調製したとろみ調整食品を比較した結果、多くのとろみ調整食品において視覚による違いが大きく、とろみを示す目安として適していない、別の食品が適していることが明らかとなった。物性測定だけでなく、画像処理を評価に加えることで、とろみの伝達に最適な食品の選定が可能となり、とろみ調整食品のより明確な情報提供が期待できることを確認した。
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