研究課題/領域番号 |
22700744
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
近江 雅代 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (20301682)
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キーワード | 給食管理 / 安全・衛生管理 / 殺菌方法 / 食中毒 / 生食野菜 |
研究概要 |
【目的】本研究は、給食施設にて多用される生食用野菜に対する最も効果的な殺菌方法を細菌学的ならびに形態学的に解明し、生食野菜の食感や彩りを損うことなく、しかも、細菌数を最も減少しうる殺菌方法を野菜種別に確立し、集団給食施設等における安全な生食用野菜の提供により、食中毒を予防することを目的としている。今年度は、野菜数種に対し、ブランチング、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、強酸性電解水による処理を施し、野菜に付着した細菌数の減少の程度について細菌学的に検討を行った。 【材料と方法】キュウリ、セロリ、キャベツ、ミズナ、レタス、トマトに対し、未処理、水洗い、ブランチング5秒、NaClO200mg/C5分間、強酸性電解水による処理を行った。また、温度の影響をみるために、水温を10℃、20℃、40℃に設定した。処理後の野菜の一部を採取し、型のごとく、試料を作成、培養後、生じたコロニー数から、試料1g当たりの一般細菌数、大腸菌群数および大腸菌の菌数を算出した。一般細菌数、大腸菌群数および大腸菌の減少の程度から、最も細菌数の減少に効果的である殺菌方法を野菜種別に同定した。 【結果および考察】一般細菌数および大腸菌群数が減少した処理法は、キュウリではブランチング、キャベツ・ミズナではブランチング、NaClO40℃、強酸性電解水40℃、レタスではNaClO40℃、セロリ・トマトではブランチング、強酸性電解水40℃であった。このことから、レタス以外の野菜では、いずれもブランチングもしくは強酸性電解水40℃による消毒・殺菌方法が効果的であることが明らかとなり、これらの方法については『大量調理施設衛生管理マニュアル』には具体的記載はないものの、NaClO以上の消毒・殺菌効果が期待できるものと思われる。しかし、消毒・殺菌効果が非常に高くとも、生食野菜特有の食感や彩りを損なう処理法では効果的であるとは言えないことから、平成22年度に実施した形態学的所見と併せて検討しなければならない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究実施計画に沿って研究を進め、今年度実施内容はほぼ予定通りに終了した。しかし、野菜種によっては、菌数の個体差がみられたことから、細菌学的検査については、現在も引き続き、追試を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
前述したように、野菜種によっては、菌数の個体差がみられることから、平均、標準偏差をとることが困難であり、できるだけ多くの検体を採取し、野菜種別の菌数の特徴を捉えるようにしている。これまでに得られた形態学的所見と細菌学的検査結果から、生食用野菜の食感や彩りを損うことなく、しかも、細菌数を最も減少しうる殺菌方法を野菜種別に確立し、集団給食施設等における安全な生食用野菜を提供することは、生食用野菜を原因とした食中毒を予防することに繋がるものと考える。
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