【目的】本研究は、生食野菜の食感や彩りを損うことなく、しかも、細菌数を最も減少しうる殺菌方法を野菜種別に確立することを目的とする。野菜に対し、各種殺菌方法を施し、野菜に付着した細菌数の減少の程度について細菌学的に検討する。また、野菜は表面形状や厚さ等、種類によって特徴が異なることから、菌数の減少のみならず、殺菌後の野菜の食感や形態学的変化、さらには、走査型電子顕微鏡による野菜表面の細菌の付着の様子についても併せて検討を行う。 【材料と方法】キュウリ、セロリ、キャベツ、ミズナ、レタス、トマトに対し、未処理、水洗い、ブランチング5秒、NaClO200mg/L:5分間、強酸性電解水による処理を行った。また、温度の影響をみるために、水温を10℃、20℃、40℃に設定した。処理後の野菜の一部を採取し、細菌学的ならびに形態学的に検討した。また、別の一部を官能検査の試料とし、パネル数名に試食させ、各種野菜の食感、彩り等を評価した。 【結果】細菌学的検索では、いずれの野菜においても、最も菌数が減少した処理法はブランチングおよび強酸性電解水40℃であった。しかし、形態学的検索では、ミズナ・レタス・セロリ・トマトはブランチングにより外観および食感を著しく損なった。一方、NaClO・強酸性電解水は各種野菜の特徴を損なうことはなかった。 【考察】食感や彩りを損うことなく、しかも、細菌数を最も減少しうる殺菌方法は、キュウリ・キャベツはブランチング、ミズナ・レタス・セロリ・トマトは強酸性電解水40℃であることが明らかとなった。今回、生食野菜特有の食感や彩を損なうことなく、菌数減少に最も効果的な殺菌方法を野菜種別に確立できたことは、野菜類を原因食材とする食中毒の減少に繋がり、安全・安心な食事の提供を可能とするものと考える。
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