本年度は、昨年に引き続き液体クロマトグラフィー・フーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析計を用いてサンプルの成分分析を進め、合計で33種の野菜について可食部に分け(葉・茎・果実など)、解析を行った。葉部・茎部で比較できた野菜をみてみると、いずれも葉部の方が茎部の2倍以上の成分を検出することができ、葉部のほうが複雑な組成であることが分かった。また、緑色葉野菜と淡色葉野菜を比べると、緑色葉野菜のほうが圧倒的に多くの成分が検出された。葉部のなかでは、ダイコンが最も組成が複雑であり800種の成分が検出された。次いでホウレンソウやセリ科野菜であるミツバ、セリ、パセリが多く、一般に健康のイメージの強い野菜が成分組成も複雑である傾向があった。特に、野菜の機能性寄与成分として知られるフラボノイドについて着目し、その種類を見たところ、ホウレンソウが最も多く、46種のフラボノイドの存在が確認された、次いで、ダイコン(32種)、ニラ(31種)の順に多かった。また、根野菜、イモなどでは検出成分は少なかった。これは、植物の生態では根部は貯蔵でんぷん、タンパク質などが多いこと、各種成分の生合成があまり行われていないことから、成分数が少なくなっていると考えられる。各野菜独特な成分に着目し比較すると、セリ科野菜がもっとも特徴があることが分かった。果実野菜については(キュウリ、トマト、ピーマン、ナス、イチゴ)、いずれも200種ほどの成分の存在が確認できた。ピーマン、トマト、ナスは同じナス科に属するが、一次代謝物以外はほとんど共通する成分は見いだされなかった。
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