ゴマは古くからさまざまな生理活性を発揮することが報告されており、その有効成分はセサミンやセサミノール、セサモリン等のリグナン類であると考えられている。ゴマに含まれるリグナン類の一つであるセサミンは、アルコール代謝促進作用、抗ガン作用、血圧上昇抑制作用および脂質代謝改善作用等の多様な生理機能を発揮することが報告されている。一方、セサミンに水酸基が1分子付加された構造を有するセサミノールは、セサミンと同様あるいは高い水溶性を示し、消化・吸収されやすいと考えられることから、セサミンを上回る生理活性を発揮する可能性が期待されている。しかしながら、ゴマに含まれるセサミノールは、ほとんどがセサミノール配糖体として存在しており、アグリコンであるセサミノールとしてはごく微量しか存在しておらず、生理活性を研究するのに十分な量を単離することが困難であったことから、これまでほとんど研究されていない。 これまでに、宮崎県内の企業がセサミノール配糖体をセサミノールに加水分解する微生物をスクリーニングし、セサミノールを大量に製造する方法を世界に先駆けて確立している。本研究では、0.05%~0.20%セサミノールを食餌に添加し、コレステロール添加食ラットの脂質代謝に及ぼす影響を検討した。その結果、セサミノールは食餌への添加量依存的な効果が認められ、0.15%および0.20%添加群で血清および肝臓脂質濃度の顕著な低下作用が認められた。さらに、肝臓における脂肪酸代謝関連酵素のmRNA量もセサミノールの添加量依存的な効果が確認された。 以上の結果から、セサミノールはセサミンに匹敵する脂質代謝改善作用を有することが明らかとなった。
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