学童の野菜摂取行動とそれに影響する因子について、学童個人レベル家庭環境レベルの指標ならびに妥当性を検討した。青森県において地域特性の類似したT町とH町の2地域から協力の得られた7小学校の5・6年生とその保護者400組を対象とした。調査方法は無記名自記式質問紙法とし、質問紙項目は行動科学理論モデルを用い、学童の野菜摂取行動の指標として食物摂取状況及び食行動(目的変数)、学童の野菜摂取行動に影響する因子の指標として食への積極性、知識、態度及び周囲の支援(説明変数)を設定した。調査は2009年12月~2010年1月に実施し、このデータを用い解析を行った。妥当性検討のため、得られた回答を得点化し因子分析をした。また、学童と保護者の指標間の関連を検討するため、各々から抽出された因子の因子得点のSpeaman相関係数を算出した。学童及び保護者の有効回答数は331組であった。因子分析の結果、学童及び保護者ともに説明変数とした10項目について4つの因子(学童の態度、家族の影響、重要性、知識)が抽出された。学童及び保護者の因子モデルの当てはまりを確認した結果、両者とも良好な適合度指標を得た。また、学童及び保護者から抽出された同じ因子名間において、有意な正の相関関係が認められた。これらの結果から、設定した指標は学童の野菜摂取行動に影響する因子を評価するための指標として妥当であり、また学童と保護者の関係を評価するための指標としても妥当であると考えられた。本年度は、学童の野菜摂取行動に影響する因子を検討するための指標として、学童個人レベル及び家庭環境レベルでの妥当性が明らかとなった。今後、小学校及び地域環境レベルの指標としての妥当性を検討することで、学童の野菜摂取行動に影響する因子をマルチレベルの視点から評価するための指標を開発することができる。そのための基礎資料として重要な成果が得られた。
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