平成23年12月、青森県H市の1小学校における5-6年生とその保護者139組を対象に、自記式質問紙調査を実施し、90組(65%)から有効な回答を得た。学童と保護者の質問紙それぞれの妥当性を確認するため、質問紙の説明変数項目について、探索的因子分析及び確認的因子分析を行った。その結果、学童では「学童の態度」「家族の影響」「知識」の3つの因子が抽出され(1項目は因子負荷量が1以上であったため除外)、良好な適合度指標が得られた(GFI=0.93、AGFI=0.87、CFI=0.97、RMSEA=0.05)。保護者では、最初、良好な適合度指標が得られなかったため、項目の精選により3項目を除外し、誤差相関を設定した。その結果、学童と同様の3つの因子が抽出され、良好な適合度指標が得られた(GFI=0.96、AGFI=0.91、CFI=1.00、RMSEA=0.00)。次に、説明変数項目と目的変数項目の関連についてSpearman相関係数を用いて検討した結果、学童と保護者の質問紙の両者で有意な正の相関関係が認められた(p<0.05)。学童と保護者の関係をみる質問紙としての妥当性を検討するため、説明変数項目の因子分析によって抽出された学童と保護者の因子得点を用いて、同じ因子名間の相関関係を検討した。その結果、全ての因子間で有意な正の相関関係が認められた(p<0.05)。指標の信頼性は、学童の指標(クロンバックα=0.71)と保護者の指標(クロンバックα=0.60)のどちらも高い信頼性係数を得た。本年度研究において因子分析により抽出された指標の枠組みは、平成22年度に抽出された項目といくつかの相違点はあるものの、ほぼ類似の枠組みを示した。以上の結果から、本研究で設定した指標は、平成22年度に調査した地域とは別の地域のデータにおいても、指標の信頼性および妥当性が確認され、外的妥当性を確認することができた。本研究成果は、指標の外的妥当性、即ち一般化可能性を示したものであり、大規模調査に用いる指標としても妥当である可能性を示唆した重要な成果である。
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