平成22~23年度に野菜摂取行動に関する調査をしたT町の4小学校、H町の3小学校、H市の1小学校を対象として、市販地図ソフト「ゼンリン電子地図帳Zi15」を用いて、学校・地域環境に関する指標を検討した。小学校別の野菜購入店舗へのアクセスのしやすさを検討するため、小学校を中心として半径3km及び5kmについて「小学校周辺の店舗数」と「小学校周辺にの店舗までの平均距離」の関連を分析した。野菜購入店舗はスーパー、コンビニエンスストア、ショッピングセンター、青果物店とした。その結果、両範囲とも有意な関連は認められなかった。しかし、3kmの場合には店舗数が多いほど店舗までの距離が短い傾向がみられ、5kmの場合には店舗数が多いほど店舗までの距離が長い傾向がみられた。これは、H市の1小学校以外のT町やH町は小規模地域であり、周辺範囲が広がると近隣の市が範囲に含まれたため、距離が長いほど店舗数が増加したものを考えられた。小規模地域を含む場合、小学校周辺の食環境を評価する際には周辺3kmまでが妥当な範囲ではないかと考えられた。 昨年度までに実施した野菜摂取行動に関する質問紙調査結果を得点化し、各小学校別の野菜摂取行動得点を算出した。得点が高いほどより好ましい行動であることを示す。都市部(H市)と農山村部(T町とH町)で2群間の差を検定した結果、都市部のほうが有意に小学校周辺の店舗数が多く、野菜摂取行動得点が高かった。しかし、「野菜摂取行動得点」と「小学校周辺の店舗数」との間に有意な関連はみられなかった。今回は都市部のデータが1小学校のみであったため、複数校への調査が必要と考えられた。 今回は野菜購入店舗に焦点をあてたが、今後は店舗で販売されている野菜の種類や価格、小学校での野菜に関する食育実施状況等の別の指標を設定し検討する必要がある。
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