欠食と認知機能の関連性を疫学調査および脳血流や自律神経活性の分析により検討した。大学生35名に、暗算・ストループカラーワードテスト・顔の再認知試験の3種類の学習課題を回答させて成績を比較した。3種類の課題は、いずれも欠食で課題遂行数が有意に低下し、さらに顔再認知試験では正解率も有意に低下した(p<0. 05)。これより顔認知が3種課題で欠食の影響を最も受けやすいことが示唆された。小学生80名に対して顔再認試験および顔表情試験を実施すると、怒り顔や恐怖顔は欠食時も正解率が維持されるが、幸福顔や平静顔の認知は正解率が有意に低下した(p<0. 05)。 朝食を毎日摂取する習慣を持つ大学生15名に朝食摂取日と欠食日に暗算と顔再認試験を実施し、心電計にて自律神経活動を、NIRSにて前頭部および側頭部血流を測定すると、欠食日は、暗算も顔再認も交感神経活性の上昇差が摂取日よりも有意に上昇した(p<0. 05)。脳血流は、欠食日の安静時の左前頭部酸素化ヘモグロビン(Hb)および還元Hbの平均値が低値を示した。暗算による上昇差は、酸素化Hbは変わらず、還元Hbは欠食日で平均値が低値を示した。顔再認では左右の測頭部の還元Hbの平均値が低値を示した。 以上より、認知課題の成績と自律神経活性、脳血流は、欠食の影響を受けること示されたが、課題の種類による差異は成績以外は特に示されなかった。
|