研究課題
これまで、優れた非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデル動物SHRSP5/Dmcrを開発してきた。この動物は、高脂肪・コレステロール(HFC)食の比較的短い期間の摂取で、NASHのほぼ全てのステージ(脂質沈着・炎症・線維化による偽小葉形成)に進展する。NASH進展に脂肪とコレステロールのどの成分が主要な役割を担うのか興味が持たれる。そこで、まず、摂取するHFCの量を段階的に変化させることにより、HFCがNASH進展に及ぼす役割を明らかにした。次に、肝障害の原因がHFC飼料の脂肪によるものなのかコレステロールによるものなのか明らかにすることを目的とした。今年度はそれらの肝臓中、血中の生化学的成分の変化と組織学的変化の関連を検討した。SHRSP5/DmcrはArteriolipidosis-prone rats(ALR)と呼ばれ、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)の亜系統であり、金城学院大学のSPF施設で、系統維持している。動物は雌性ALR10週齢を、餌はHigh Fat Cholesterol (HFC)dietとコントロールとしてSHRSP系統の普通食として使用されているSP dietを用いた。摂餌期間は肝臓への架橋状況の線維化と炎症が認められる8週間とした。HFCの容量依存的に肝臓の組織学的障害は認められた。障害が認められた群の血清中のALT、ASTは上昇し、肝臓中MMP2の減少・TIMP1の増加や線維化の上昇が認められた。本結果より、SHRSP5/DmcrはHFC飼料摂取量依存的にNASH患者用の病理像を引き起こし、その原因の一つとして、脂肪外マトリックス代謝に関係するMMP2やTIMP1の発現に異常が生じるためと考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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