研究課題/領域番号 |
22700765
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研究機関 | 名古屋学芸大学 |
研究代表者 |
山田 千佳子 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 助教 (30351216)
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キーワード | 食物アレルギー / リゾチーム / 減感作療法 |
研究概要 |
本年度は、平成22年度に確立したリゾチームアレルギーの実験系を利用して、アレルギー状態のマウスに減感作用リゾチームを経口投与し、その後に誘導するアナフィラキシー症状が改善されるような投与方法を検討した。減感作を目的として投与するリゾチームは、他の食品成分との相互作用による免疫応答の変化を期待して、糖(デキストラン)と混合し、リゾチームのみを投与した場合と比較した。このリゾチームとデキストランの混合物をマウスに1匹あたり124mg(リゾチーム量として20mg)胃内投与し、30分後、60分後の消化性を解析した。また、同時に採血した末梢血中のリゾチームをイムノブロット法で検出し、吸収性を解析した。さらに、リゾチームアレルギーにしたマウスにリゾチームとデキストランの混合物を10日間経口投与し、減感作の誘導効果をリゾチームのみ20mg投与した場合と比較した。その結果、リゾチームの消化性および吸収性に関しては、デキストランを混合投与することによる影響は認められず、30分後、60分後ともに末梢血中からリゾチームが検出され、血中に移行していることが確認できた。しかし、リゾチームとデキストランの混合物をリゾチームアレルギーマウスに経口投与し減感作を誘導した結果、リゾチームのみ投与した場合と比較して消化管内IgA量が増加し、減感作誘導後に行ったショック症状の解析では症状が緩和される傾向が見られた。以上の結果より、糖との混合摂取により減感作の誘導効果が高まる可能性が示唆された。また、アミノカルボニル反応を利用して、リゾチームに糖を結合させた糖結合リゾチームを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
減感作に用いるリゾチームの加工方法としてアミノカルボニル反応を利用した糖結合リゾチームの作製を試みたが、反応条件の設定に手間取り、思うように実験が進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、アミノカルボニル反応を利用してリゾチームに糖を結合させた糖結合リゾチームを用いて、アレルギーマウスに経口投与した場合の減感作誘導効果について調べる。また、アナフィラキシーショックの症状は呼吸の乱れ、動きの減少、各部位の炎症度など項目ごとにチェックし、総合的に評価していた。しかし、煩雑で評価しづらいため、トレッドミルを用いて運動量を測定し、この運動量で症状の重度を評価できないか検討する予定である。
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