植物特有の機能成分であるポリフェノール類は植物の表皮、種子等に多く含まれる色素・苦味の成分で、フラボノイド、フェニルカルボン酸、リグナン、クルクミン、クマリン系等に分類される。フラボノイド系は種類が多く、ブドウやベリー類の果皮に多く含まれるアントシアニン類は、がん細胞増殖抑制作用や視覚機能改善が知られている。赤ワインには多くのポリフェノール類が含有されており、多方面での効能が報告されている。本研究では、交感神経系のモデルとして研究に用いられている培養ウシ副腎髄質細胞を用いて、赤ワインなどに含まれるポリフェノール化合物等のカテコールアミン神経系への作用について細胞レベルで検討した。1、フラボノイド系のアントシアニン類(シアニジン、ペオニジン、デルフィニジン、ベラルゴニジン、ペチュニジン)は、アセチルコリン受容体刺激によるカテコールアミン分泌には影響しなかった。2、フラボノイド系のフラボノールであるケルセチンはニコチン性アセチルコリン受容体刺激、電位依存性Naチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌と^<45>Ca^<2+>流入を濃度依存的(10-100μM)に抑制した。3、フラボノイド系であるアピゲニン、ケンフェロール、シリマリンはニコチン性アセチルコリン受容体刺激によるカテコールアミン分泌を濃度依存的(10-100μM)に抑制した。 ポリフェノール化合物フラボノイド類であるケルセチン、アピゲニン、ケンフェロール、シリマリンはイオンチャネルを阻害することにより培養ウシ副腎髄質細胞におけるカテコールアミン分泌を抑制することを明らかにした。ポリフェノール化合物フラボノイド類の一部は交感神経系へ影響を及ぼす可能性が示唆された。
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