研究課題
本研究では、交感神経系機能のモデル系として各種薬物の作用解析に広く用いられているウシ副腎髄質の初代培養細胞を用いて、赤ワインなどに含まれるポリフェノール化合物のカテコールアミン神経系への作用について検討を行った。昨年度は、様々なポリフェノールのなかで特にフラボイド系化合物の直接作用についてスクリーニング実験を行ったが、平成23年度はその中でも特に作用を示したフラボノイド化合物に関し、細胞レベルでの詳細な検討を行った。1.Apigeninはアセチルコリン受容体刺激によるカテコールアミン分泌を抑制した。2.Silymarinは、ニコチン性アセチルコリン受容体刺激、電位依存性Naチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌を濃度依存的(1O-100μM)に抑制した。3.Quercetinは、ニコチン性アセチルコリン受容体刺激、電位依存性Naチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌を濃度依存的(10-100μM)に抑制した。4.Kaempferolは、ニコチン性アセチルコリン受容体刺激、電位依存性Naチャネル、電位依存性Caチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌を濃度依存的(10-100μM)に抑制した。ポリフェノールの1種であるフラボノイド類の中で、Silymarin Kaempferol,Quercetinは、ニコチン性アセチルコリン受容体、電位依存性Naチャネル、電位依存性Caチャネルのそれぞれ異なったイオンチャネルを阻害することにより交感神経系機能のモデル系である副腎髄質細胞におけるカテコールアミン分泌を抑制することを明らかにした。以上の結果より、これらのフラボノイド化合物が交感神経系機能に影響する可能性が示唆された。
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Journal of Pharmacological Sciences
巻: Supplement 1 Vol 118 ページ: 240