研究概要 |
HDLは血管壁の余剰なコレステロールを引抜き、肝臓、さらには胆汁を介して糞便中へと排泄するコレステロール逆転送機能を有し、このコレステロール引抜き反応に関与するマクロファージの膜蛋白(ABCA1, ABCG1, SR-BI)が同定されたことを契機にして急速に解明が進んでいる。我々は、コーヒーや緑茶、ワインなどの飲料や果物、野菜などに豊富に含まれているポリフェノールに注目し、コレステロール逆転送作用への影響の観点から研究を進めてきた。培養細胞を用いたin vitro実験系を使ってスクリーニングを行い、アントシアニン含む食餌をマウスに摂取させ、[3H]-コレステロールでラベルしたマクロファージをマウスに腹腔内投与した。その後、血中、肝臓中、胆汁中および糞便中の[3H]-コレステロールをカウントした結果、糞便中に排出された[3H]-コレステロールがアントシアニン群で有意に増加した。また、マウスはヒトと異なりリポタンパクのほとんどがHDLのため、ヒトとよく似たリポタンパク組成であるハムスターを用いたコレステロール逆転送評価方法を確立し、コーヒーに含まれるフェルラ酸でコレステロール逆転送を促進することを明らかにした。
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