研究概要 |
睡眠関連摂食障害(Sleep-related eating disorder: SRED)は、夜間睡眠中、無意識に食物の摂取を繰り返す病態で、パラソムニアに分類される。しかし、睡眠薬服用や他の睡眠障害に伴い2次的に生じる症例も少なくない。本研究は、1次性と2次性の臨床的特徴の差異を明らかにすることを目的とした。 睡眠専門外来でSREDと確定診断を受けた60名を後方視的に調査し、1次性SRED群(n=32)、睡眠薬契機のMed-SRED群(n=10)、睡眠相後退症候群(DSPS)契機のDSPS-SRED群(n=10)に分類した。 Med-SRED群は他の群に比べて発症年齢が有意に高かった(1次性SRED群25.7±7.4歳, Med-SRED群39.6±19.0歳, DSPS-SRED群29.3±6.3歳)。摂食の記憶がない症例の割合は、Med-SRED群(75%)で有意に高く、DSPS-SRED群(0%)で低かった(1次性SRED群33%)。夜間前半に症状が発現する割合は、1次性SRED群(90%)で有意に高く、DSPS-SRED群(50%)では低かった(Med-SRED群80%)。小児期睡眠時遊行の既往は、Med-SRED群(10.0%)、DSPS-SRED群(22.2%)に比して1次性SRED群(46.9%)で高い傾向にあった(p=0.07)。 以上より、1次性SREDは症状が夜間前半に発現し、睡眠時遊行の既往が高いといったパラソムニアの特徴を示すのに対し、DSPSによるSREDでは症状発現時間帯の遅延した症例が多かった。睡眠薬によるSREDは発症年齢が高く、症状の記憶が欠落している症例が多いことから、1次性ならびに2次性でSREDの臨床的特徴が異なることが示唆された。
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