平成22年度は、映像制作に関連した文献や論文などの収集から始まり、大学でデジタルカメラを使った映像編集を教育に取り入れている研究者や、NHKで科学番組を制作するプロデューサーに協力していただき、ヒアリング調査や現場の視察を行った。 NHKエデュケーショナル科学健康部統括部長の藤川大之氏(2006~2009年までNHK科学・環境番組部長)には、科学番組制作のプロセスと取材のあり方についてヒアリングを行った。研究者の取り上げ方や演出手法、科学技術を伝える上で最も大事なことは何かといった点について、NHKでの30年間に渡る科学番組制作の経験からお話し頂いた。取材内容の一部は、学術雑誌「科学技術コミュニケーション」第8号に収録されている。 三重大学教育学部附属教育実践総合センターの須曽野仁志教授には、教育学部の授業「メディアリテラシーと情報表現」を見学させていただき、情報発信手法としてのデジタルストーリーテリングの有効性や、科学教育への応用について貴重な示唆をいただいた。またデジタルストーリーテリングについて研究し、修士論文にまとめた教育学研究科学校教育専攻2年の井川朋香氏に対しても聞き取り調査を行った。 また、NHKエデュケーショナル科学健康部の村松秀氏(第2回科学ジャーナリスト大賞受賞者)からは、現在放映中のNHK教育番組「すイエんサー」を例に、実際に編集作業と試写をしている現場を見せて頂き、具体的なお話を伺った。中高生などの若い世代を対象に、科学を分かりやすく、興味をもってもらえるように表現するにはどうしたらいいのか。またその楽しくポップな雰囲気の番組を作るために、いかに緻密な映像構成が必要かといった点について、制作の真っ只中におられるプロデューサーの貴重な生の声を聞くことができた。
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