研究概要 |
昨今,理系離れ対策や,産業界からの要望などにより,ものづくり教育の重要性が増しており,大学もその対応を求められている.本研究では,大学院進学後や,就職後にスムーズに研究開発を遂行できるような人材育成をめざし,2~3年の長期に渡るものづくり実践を通して工学学習を深められる,総合的なロボット開発プラットフォームの開発を目的とする 初年度である本年度は、ロボット開発を通じた学習と労働コストの定量的な評価を行った。具体的には、設計,製作の流れにおける内容と時間の調査分析を行った。まず、ロボットの構造や機構などの機械的要素の開発の事例に焦点を当てて調査を行った。ある程度複雑なロボットの開発においては事前の設計が不十分な場合には、実際に組み立て後再設計になる事が多く、非常に非効率な開発となることがわかっているため、3DCADによる設計支援が欠かせない。そこで、製造現場および高等教育機関での教育用の3DCADとしてよく用いられているSolidWorksと、Google社により無償提供されているGoogle SketchUpにより設計時間の比較実験を行った。この結果、SolidWorksと、Google SketchUpではおよそ5倍程度の差があることがわかった。これは、Google SketchUpが材料の寸法変更などが自由に行える設計手法であることに対し、SolidWorksでは実際の製造に適するように「部品」を定義し、それを組み立てていく手法であるため、柔軟な寸法変更が難しいことが大きな理由である。さまざまな制約の中で、自由に構造を変化させていくような、「創造設計」においては、部品定義よりも大枠を決めてからブレークダウンしていくような開発が適しており、必ずしも高機能な製造系の3DCADが適切ではないということがわかった。
|