研究概要 |
本研究では,大学生を対象とするSD実践力としての科学リテラシー育成プログラムモデルについて,次の3点から提示することを目的としている。(1)SD実践力としての科学リテラシー到達指標の抽出,(2)SD実践力としての科学リテラシー育成プログラムの開発と実施,評価,(3)SD実践力としての科学リテラシー育成プログラムの開発と実施,プログラムモデルの提示。23年度は(1)について文献資料,市民学習実践をしている博物館等の発行する資料収集を継続するとともに,主に(2)の実践を行った。 資料として得られたユネスコ(2009)によるSDの枠組みを参考にして,学生のSD意識向上のためのプログラム開発と実施を行った。具体的には,女子大学生37名を対象として身近なSD事例に着目するフィールドワークを実施し,そのアウトプットを単語連想法によって評価するというパイロットプログラムを実施した。今年度の結果として,対象となった学生は環境的側面とその問題状況に関連するSDイメージを強く持っている一方,社会文化的側面や経済的側面に含まれる問題状況をほとんどイメージしていないと理解できた。学生のイメージする最も象徴的なSDは,使い捨てをなくすことやリサイクル,省エネルギーといった事物であった。これらの具体的事例として,学生の中には商品を撮影し,商品名を連想語で表現している者もいた。企業の提示する宣伝広告等も学生のSDイメージを形成しているひとつの要因となっていると推測できる。また,本調査から,環境的側面とその問題状況を中心としてSDやESDが日本で進んできたと解釈できた。これらの成果については,42nd Annual Conference of the Australasian Science Education Research Association(ASERA)(6月,オーストラリア),European Science Education Research Association (ESERA) 2011 Conference (9月,フランス), Ease-Asian Association for Science Education (EASE) 2011 Conference (10月韓国),および日本科学教育学会第35回年会(8月,島根大学),日本理科教育学会第61回全国大会(8月,東京工業大学)において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの目的のうち,2つまで着手,達成できている。また,国際学会,国内学会,大学紀要などで成果を着実に公表してきている。
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