平成22年度の研究成果として、論文誌2件、国際会議発表2件、国内会議発表2件があった。主要な研究成果の具体的な内容としては以下が挙げられる。 ・ デジタルペンを含む、多様な複数のメディアからの情報量が大きい入力を同時に記録中の複数の映像とを結びつける新しい技術を開発し、その成果を発表した。 ・ 本研究で提案したシステムは、医学教育のみならず、一般的なコミュニケーション教育にも活用できる。具体的には、ミュージックセラピィにおける振り返りへの応用、大学学部学生のためのプレゼンテーショントレーニングへの応用を示した。 ・ 本研究で提案したシステムを用いて、OSCE(客観的臨床能力試験)のための模擬患者標準化を目的としたトレーニングを行ない、その成果を発表した。 これらの成果から導き出される本研究の意義を述べる。医療面接OSCEでは、試験の客観性を担保するために、模擬患者の標準化が要求される。ここでの標準化とは、異なる複数の医学部学生の同一内容の質問に対して、異なる模擬患者が同一の回答を提供することである。本研究では、開発したシステムを標準模擬患者の養成に用いた。その結果、従来の模擬患者養成法と比較して、7名中7名全員が標準化に役立ったと回答している。他の成果としては、システムの拡張性を大幅に広げたことである。これまでシステムは、クリッカーとカメラ2台から得られた映像の結びつけしかできなかった。本研究では、入力メディア種類と数の制限とカメラ台数の制限を無くすことに成功した。
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