本研究では「探求の共同体」概念を踏まえたプロジェクト学習支援システムの構築と評価を行う者である。平成22年度ではシステムの基本となる社会的存在感の調査、システムのプロトタイプの開発、ならびに授業における実践評価を行った。社会的存在感についてはGarrisonら(2000)が提唱する「探求の共同体」に基づくため、先行研究レビューを行い、社会的存在感の発言について分類を行った。システムではコミュニケーション部分とコンセプトマップと連動したシステムを構築し、コミュニケーション部分では社会的存在感のカテゴリーによって発言の背景色を変えられるようにした。授業におけるプロトタイプ評価では、発言の分類によるコミュニケーションの楽しさ、わかりやすさが向上し、コンセプトマップなどの認知ツールや資料を共有する機能と連動することで、活発なコミュニケーションベースの学習ができると受講渚に認識されていることがわかった。しかし、自己開示などが活性化されていないこと、社会的存在感が直感的に把握しづらい、グループ全体として活発化したコミュニケーションになっているのか把握しにくいという問題点が指摘され、システムの修正を行っており、社会的存在感に関連する発言をどの学習者間で交わされているのか、返信数によって社会的存在感の強さが直感的にわかるよう、ネットワーク図のメタファーを使い、表現する機能が追加された。今年度もシステム修正を行い、実験的実験と再度、形成的評価を行う予定である。
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