研究概要 |
本研究の目的は,教育実習生が作成するティーチング・ポートフォリオの記述を質的研究方法によって分析することを通して,省察が深化する過程を中心に教師として成長する様相を明らかにすることである。本年度は,次の研究を実施した。 1.国内外の教員養成における教員スタンダード及びティーチング・ポートフォリオ活用に関する情報を収集した。国内の教員養成系大学・学部では,「教職実践演習」導入に向け,各大学で教員スタンダードを設定し,自己評価と相互評価を重視したポートフォリオ・システムを構築していることがわかった。 2.質的研究手法に関する文献や分析ツールを収集した。教育学,心理学,看護・医療等の分野で質的研究手法が多く用いられており,質的データの分析ツールとして,TRUSTIA, Text Mining Studio, PASW Text Analytics for Surveys等があることがわかった。さらに,複数の分析ツールを用いて同じデータを分析し,分析結果を比較した。 3.教職志望学生の成長の1つの指標として「目指す教師像」を設定し,教員養成初期段階である1年次生がティーチング・ポートフォリオに記載した「目指す教師像」をテキストマイニング分析して,その特徴を考察した。その結果,主題分類から,専門分野の授業を教えることを通して学ぶことの楽しさを伝えられる教師像,子どもの個性や能力を見極めながら教えることができる教師像,子どもに信頼される教師像等を有していることを読み取ることができた。 4.本研究課題に関連して,次の研究発表を行った。(1)「教育実習Webポートフォリオのテキストマイニング手法による分析-テキストマイニングツールの違いによる分析結果の比較-」日本教育工学会第26回大会.(2)「教員養成初期段階の学生の「目指す教師像」のテキストマイニング分析の試み」日本教育工学会研究会.など。
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