本研究は,Web上の新聞記事群から児童が必要とする記事を自由・安全に探すことができる検索支援環境と,個人の読解(語彙)レベルに応じて難しい表現の言い換えや読み仮名付与,補足説明などが行える閲読支援環境の構築を目的に,各種の基盤技術の実現を目指している.本年度は,以下の項目を中心に研究を実施した. 1. 新聞記事の自動収集:検索対象となる一般新聞記事の自動収集を行った.また,言い換え知識の情報源として利用するために,Web上で公開されている子供新聞記事を収集し,内容が一致する一般新聞記事を対応付けた. 2. 一般新聞記事の言い換え手法の検討:小学国語辞典を用いた言い換え手法について検討を進めた. 3. 教科書コーパスの分析および記事推薦機能の開発:教科書コーパスを分析すると共に,教科書の指定個所に関連する新聞記事を教師に向けて推薦する機能を開発した. 4. 読解・調べ学習支援機能の改良:ルビ振り機能や重要語の抽出等の既存機能を改良し,有用な機能を開発した.また,調べ学習支援の実現を目指し,新聞記事からHow型の調べ学習課題を自動生成する手法について検討を進めた. 以上の基礎的な成果は,1件の国際会議と11件の国内会議で発表し,提案手法の有用性と今後の課題について整理した.本研究で得られた基盤技術を基に,次のステップでは,Web 上の新聞記事群から小学校高学年の児童が自由に記事を検索したり,読んだり,調べたりできるNIE 支援システムの開発を目指す.
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