本研究の目的は、eラーニングなどの電子メディア学習環境におけるコミュニケーションの中で、学習者の感情状態とメッセージ送信のタイミングの関係を探ることである。 22年度は、初年度として、まず、大学生を対象に、彼らにとって一般的な携帯メールに注目して、返信のタイミングについて調べた。返信に注目した理由は、日常生活において、メッセージを送信しなくてはならないという状況(すなわち、相手からのメッセージに対する返信場面)において、そのタイミングを検討したいと思ったからである。 具体的には、質問紙を用いて、調査対象者の大学生が、返信のタイミングを意図的に操作していることがあるかどうかを調べた。その結果、返信のタイミングを操作していると回答した大学生が多くを占めた。また、タイミングの操作をする理由・状況として、送信者自身あるいはその受信者の感情面に言及したものが多くあげられた。例えば、「すぐに送信してしまうと、私の怒りが相手に伝わってしまうから」や「相手の怒りがさめるころを見計らって…」などである。 22年度に得られた結果をまとめると、以下になる。1.メッセージのタイミングが早ければ早いだけよいというわけではなく、メッセージの送信者はさまざまな思惑から方略的にタイミングを操作している。2.しかし、今回は送信者側のタイミングの操作についての検討であり、メッセージの受け手側の受け止め方も調べる必要がある。これは、次年度へ引き継がれる課題である。
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