研究概要 |
本研究では,コンピュータネットワークにおける仮想化技術の発展を背景に,これら技術の学習者が、情報の可視化を通じてより理解を促進するためのAR型室内フィールドワーク学習を提案することを目的としている.平成22年度は,このフィールドワーク内のARアプリケーションで利用する室内空間の位置情報計測システムの設計,構築を目標とした.具体的には,ARアプリケーションの構築が可能なカメラ付きタブレット端末(本研究では,フィールド端末と呼ぶ)の利用を視野に,付属の音響デバイス(マイク入力,付属スピーカによる音声出力等)を用いたシステムの構築を目指した.このことを踏まえ,平成22年度において室内型音響位置計測システムALPS(Acoustic Local Positioning System)の設計と構築を行った.このシステムは,フィールド端末の付属スピーカから発せられた音響信号を室内に設置したマイクロフォンで計測、その後解析し、位置情報をHTTP通信経由で端末へ返すものである.ここで,位置計測に多くの計算処理が必要となるため,複数の学習者ヘサービス提供を行うための分散処理の仕組みを設けている.具体的には,学習者のAR端末と情報のやり取りをする窓口サーバを設けてリクエストを一括して受け取り,複数のジョブコンピュータへこのリクエストを分配し,位置情報の計算を分散する.また,AR端末から発せられた音響信号の受信データをこれらジョブコンピュータで共有するため,録音専用コンピュータを用意し,UDPマルチキャスト通信を利用してデータを共有している.一方,フィールド端末側に要求される装置はスピーカとWiFi接続可能なネットワークインタフェースの2点のみとなる.現在,本システムを利用した位置計測の精度評価を進めており,平成23年度の研究において,その有用性について検証していく.
|