本研究では、複数の団体・組織が個別に管理するサーバ上に存在する教材を横断的に参照して学習できる教材配信システムの実現を目的としている。今年度は、本システムでの教材利用の認証・認可について研究開発を行った。 想定される利用形態を検討し、教材を利用するための学習管理システムの運用形態として、組織単位で導入された統合認証等を学習管理システムで利用する場合、及び教員個人や特定の部署単位等で学習管理システムを単独で利用する場合を対象とした。教材利用の認証・認可方式としては、組織単位での統合認証を利用する場合には、複数の組織間で認証情報等を受け渡すことが可能なプロトコルであるShibbolethを利用することとした。学習管理システムを単独で利用する場合には、教材登録時に認証トークンを発行してメタデータ中に含め、教材利用時に認証トークンを送信することで、利用組織の認証と教材利用の認可を行うプロトコルを設計して利用することとした。 教材の利用方式について再検討を行い、メタデータ中に本システムでの教材利用時に用いる非同期メッセージングに対応していることを示すフラグを付与することで、対応する学習管理システムでの動作を改善する方式を設計し、既存の学習管理システム用SCORMエンジンを変更することで設計した方式の動作確認を行った。開発してきた教材の利用方式及びメタデータの利用方式に対して、教材利用の認証・認可の仕組みを組み合わせた教材配信システムを開発した。
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