研究概要 |
本年度は,本研究で提案しているコース管理システム(CMS)を用いたオンライン試験手法の実用的な実装方法を示すために,不正行為を防止する機能の実装方法について検討した.具体的には,情報通信技術を利用した不正行為を防止する機能のうち,CMS上の試験のみへのアクセスを実現するコンテンツフィルタリング(CF)と呼ぶ機能について,(1)独立システムとして実装する方法(独立型CF)と,(2)CMS内部に組み込んで実装する方法(組み込み型CF)の2つを提案し,両者について検討した.その結果,試験の厳正さの確保という観点,およびシステムの汎用性・保守性という観点において,独立型CFと組み込み型CFは,トレードオフの関係にあることがわかった.独立型CFはシステムの汎用性・保守性という面で組み込み型に比べて優れる反面,試験の厳正さの確保という点では劣る.また,オンライン試験システムを安全に運用するために,独立型CFには,受験用端末とは平文で通信し,CMSとは暗号化通信を行う仕組みを実装する必要があることがわかった.これに加えて,組み込み型CFの実用化のためには,試験会場に固有のサブネットからのアクセスにのみCFを適用したり,予定の試験時間内においてのみCFの機能が働く仕組みの実装が必要であることがわかった.これらの研究成果については,学会発表により公表した,以上の検討結果を踏まえて,本研究では今後2つのCFの実装を進める予定である.
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