e-Campus内で学習する学生の行動履歴と成績に相関性があるという仮説を立てて、行動履歴の特徴量の選定法を提案し、これを用いた実験的検証を通して、この仮説の妥当性を立証することを目的とした。 平成23年度までの研究成果から、学習者の行動をカメラによって計測し学習中の行動を識別する部分で成果が上がった。このため、平成24年度ではこの部分を重点的に発展させることが、最も効果的に目的を達成することとなると考えた。具体的には学習者をKinectのような安価になった三次元計測装置を用い、頭・両手の動きを観測し、予め用意する辞書データとの周波数成分の比較を行うことによって、実用的な精度で学習中の振る舞いを識別できる手法を明らかにした。また、行動ごとに特徴の現れる部位が異なることから、識別にあたっては部位ごとに重み付けを考慮することとした。 実験を通じて行った検証では、体格や撮影条件による差異の影響を受けにくく、82.9%という比較的高い識別率を実現した。この識別率はある短い観測期間単独での識別率である。実際の学習はこれよりも長い期間同一の学習行動をとっていることが多いことから、前後の識別結果との比較を行うことによって更に識別率を向上させることも可能であった。 最終的な結果として、成績との相関性を評価するには至っていないが、学習状況を把握する特徴量として頭・両手の動きから、学習時の振る舞いを識別するための手法を明らかにした。また、この手法は現実的に適用可能な比較的安価な機器によって実現できることから、この手法を用いることで、成績との相関性を明らかにできる仕組みの実現までは可能とした。
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