本研究の特色は、教育活動に焦点をあて、これまでの2点間による通信を3地点間に拡張し、3要因(遠隔視線不一致、遠隔視線一致、対面)の学習環境における、教育・学習効果の比較評価を行ったことである。なお、本研究は、次の4つの研究計画からなる。①視線一致型および従来型を介した2地点間と3地点間による遠隔教育の最適学習環境の検討。②2地点間および3地点間による遠隔教育における視線一致型と従来型の画像投影サイズ限界の検討。③2地点間と3地点間による対面教育および視線一致型と従来型を利用した遠隔教育の教育効果測定。④3地点間による遠隔教育の教授方略研究。 今年度に得られた成果の一部を下記に記す。 ・視線が合わないTV会議システムは、多様な学習方法において共通して飽きや疲労に関する学習負荷や学習環境格差が認められ、これを補う新たな教授方術や学習環境整備が必要である。・視線一致型のTV会議システムは、対面学習環境に近い環境であり、特に協調学習では、対面学習環境以上に「弛緩・飽き」がおこりにくく「バーバルコミュニケーション」が円滑に行えることがわかった。・3地点間におけるコミュニケーションは、3者間のゲイズアウエアネスの成立環境が重要である。・異分野の学生間における協調学習は双方の学びを広げ、教育効果が向上する。2地点よりも3地点の交流学習ほうが高い教育効果を得る。・視線一致型を用いた多地点における遠隔交流学習は、国際間の交流学習を実施するに当たり、単に時空を縮めコスト削減を可能にするだけではなく、学習効果の面からも適切な学習環境であることが期待できる。
|