本研究では、テストメディアとして音声ないし点字を用いる場合に判別が困難な同音異字語を説明するための注記の挿入を半自動で行うシステム(ソフトウェア)の開発を行ってきた。最終年度である本年度(24年度)は、研究成果を実体化すべく以下を行った。 1 「漢字説明辞書」の編纂。前年度まで、本研究のシステム(ソフトウェア)のデータとして用いるべく字注(詳細読み)辞書を整備してきた。同データは、視覚障害者(児)のための漢字説明辞書として、教科指導の場での活用が可能であり、またそうした活用を通じて初等中等教育との連携が実現できる。そのため、教育現場で参照できる辞書としての編纂を行った。冊子形態での編集を一通り完了した。あわせて、検索性を確保した電子書籍形態(ePubフォーマット)での編集についても作業を進めた。 2 ソフトウェアの開発完了と過去問字注の分析。 (1) 本研究の主要な課題である字注挿入システム(ソフトウェア)の開発を完了した。音声単語親密度を基準として、問題文より注を付すべき単語を抜き出し、字注辞書を参照し字注文章の候補を提示する。 (2) (1)の開発の過程で得られたソフトウェアルーチンを用いて、センター試験国語過去問に対して作題担当者の判断で付された字注の分析を行った。これらの字注は、おおむね適切と判断されるが、一部その論拠が確認しがたいものがあり、本研究で開発したようなシステムの導入が有用であることが確認された。
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