研究課題/領域番号 |
22700844
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
松島 朝秀 高知大学, 総合教育センター, 特任准教授 (60533594)
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キーワード | 文化財 / 透過撮影 / 単色X線 |
研究概要 |
本研究は、文化財の透過X線撮影に単色X線を用いることによって、撮影条件の体系化を目指すものである。透過撮影は文化財の研究に重要な調査方法の一つになっており、様々な研究機関で用いられているが撮影条件は体系化なされていない。今後このような状況が続くと撮影した画像を比較したり、画像情報から科学的な知見を求めることが困難になってしまう。そこで、照射X線にこれまでの連続X線に代わり単色X線を用いると、異なるX線照射装置を使用しても同じ照射スペクトルによっての撮影が可能になるため、撮影条件が体系化できることに加えこれまで透過率の差が小さく不明瞭だった部分の透過画像が明瞭になり、透過濃度の再現性も向上する。 平成23年度は、CdZnTe半導体検出器を用いたX線スペクトル測定のシステム構築を行う予定であったが、より詳細な検討を行った結果、CdZnTe半導体を用いた検出器よりもSDDを用いた検出器が寄り高性能で安価であったため、予定ではなかったSDD検出器を研究に用いることにした。本検出器を用いて1.連続X線・単色X線の直接線スペクトルの測定。2.X線の光子数及び照射線量、線量当量の測定を行った結果、これまで文化財の透過撮影研究で検討されなかったX線が物質に及ぼす影響についての指標になる数値も得られる可能性が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で購入を予定していたCdZnTe半導体検出器よりも、より高性能で安定した分析結果が得られるSDD検出器を代替購入しことにより、分析装置の環境を再構築する必要性が出てきたため、研究に若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、新しいX線分析の環境を整えると共に、単色X線を用いた透過撮影における効果の検証を行う研究計画を実行する。当初、本研究ではシミュレーションを用いて、短時間で金属フィルターの製作を行うと予定していたが、より実践的な実験を実際に行うことで、シミュレーションを行う以上の成果を得たい。 また、実際の文化財の撮影で用いる機会をより多く持ちたいと考える。
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