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2012 年度 実績報告書

土質遺構保存のための基礎的研究 ー動水勾配を利用した塩類析出抑制法の開発ー

研究課題

研究課題/領域番号 22700850
研究機関独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所

研究代表者

脇谷 草一郎  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (80416411)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2013-03-31
キーワード土質遺構 / 露出展示保存 / 熱水分同時移動 / 塩析出 / 脱塩 / 覆屋 / 換気回数
研究概要

本研究は露出展示された土質遺構において、遺構表層からの水分蒸発を抑制する、あるいは水分を供給することによって1)遺構土壌の形状安定化、および2)可溶性塩類のリーチングをおこない、土質遺構の安定な露出展示保存法の開発を目指すものである。
本年度は、覆屋を伴う露出展示状態にある福島市宮畑遺跡を対象として調査研究を実施した。現地で外界気象条件の測定をおこなうと同時に、覆屋内空気の温度、湿度、および遺構土壌中の水分化学ポテンシャル、含水率、土壌温度、電気伝導度の測定をおこなった。これまでに遺構土壌の保水性試験と透水試験を実施しており、すでに遺構土壌の水分移動特性を得ている。そこで、現地調査から得た外界気象条件をもちいて、遺構土壌における熱水分移動解析をおこない、露出展示状態にある遺構土壌の水分環境の変化について検討した。
解析の結果、降雪によって覆屋周辺の土壌へ供給される水分の影響を考慮しきれていないものの、土中の化学ポテンシャル変化は概ね実測値と一致しており、解析モデルは妥当と考えた。また、土中の化学ポテンシャルは年周期の変動を示し、その極小値は、土壌の安定性を維持し得る高いものであることが示唆され、1)遺構土壌の保水性が高いこと、2)現在遺構は非公開のため、覆屋の換気がなされていないことが、その理由と考えられた。次に、塩析出を抑制し、遺構の安定性の維持するために許容される換気回数について検討をおこなった。解析の結果、換気回数0.2回/時間以下の場合、遺構の安定性を維持し得ることが示唆された。一方で、現地調査の結果、遺構土壌表面の一部で硫酸カルシウムの析出が認められた。難溶性塩類では蒸気圧降下の効果を殆ど示さないため、土壌からの水分蒸発の抑制、あるいは水分の供給をおこなった場合でも析出し得る。これら難溶性塩類の析出を抑制する手法、および脱塩方法については引き続き検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 史跡ガランドヤ古墳の保存に関する研究-石室保護施設の設置による結露性状変化の検討-2013

    • 著者名/発表者名
      脇谷草一郎
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所紀要2013

      巻: 1 ページ: ??-??

  • [雑誌論文] 土質遺構露出展示保存のための基礎的研究 -宮畑遺跡における土壌水分変動解析-2013

    • 著者名/発表者名
      脇谷草一郎
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所創立60周年記念論文集

      巻: 1 ページ: 1423-1434

  • [雑誌論文] Study of preserving the carved stone in burial mound using numerical analysis of heat an moisture simultaneous transfer2012

    • 著者名/発表者名
      Soichiro WAKIYA
    • 雑誌名

      Proceedings of the 5th International Building Physics Conference

      巻: 1 ページ: 1323-1330

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 史跡ガランドヤ古墳における水の挙動に関する調査研究32012

    • 著者名/発表者名
      脇谷草一郎
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所紀要2012

      巻: 1 ページ: 46-47

  • [学会発表] 田熊石畑遺跡における青銅器埋蔵環境の変遷に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      脇谷草一郎
    • 学会等名
      日本文化財科学会
    • 発表場所
      弘前大学
    • 年月日
      20130706-07
  • [学会発表] 平城宮遺構展示館における露出展示遺構の劣化に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      桑原範好
    • 学会等名
      日本建築学会近畿支部
    • 発表場所
      大阪工業技術専門学校
    • 年月日
      20130615-16
  • [学会発表] 木製遺物を包含する土壌環境2013

    • 著者名/発表者名
      高妻洋成
    • 学会等名
      日本木材学会
    • 発表場所
      岩手大学
    • 年月日
      20130327-29
  • [学会発表] 土質遺構露出展示状態の宮畑遺跡における水分移動解析2012

    • 著者名/発表者名
      脇谷草一郎
    • 学会等名
      日本文化財科学会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      20120623-24
  • [学会発表] Study of preserving the carved stone in burial mound using numerical analysis of heat an moisture simultaneous transfer2012

    • 著者名/発表者名
      Soichiro WAKIYA
    • 学会等名
      the 5th International Building Physics Conference
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      20120528-20120530

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公開日: 2014-07-24  

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