本研究は、身近な地域における安全安心の維持に向けた住民活動を評価し、身近な地域の環境財と住民との関係を検証することを目的としている。具体的には、住民活動によって維持されている安全安心な生活環境を身近な地域の環境財ととらえ、その活動に対する支払意思額(WTP)や労働意思量(WTW)を測度とする評価を実施する。 本年度は、上記の研究目的に対応するかたちで、文献資料の収集や研究デザインの検討、関連機関への聞き取り、統計資料の収集・整理を実施した。文献資料の収集や関連機関への聞き取りでは、京都府・京都市そして安全安心に関する先進的な取り組みを行っている亀岡市における防災・防犯に関する各種取り組みに関する情報・資料の収集を行った。ここでは具体的な研究対象地域や評価対象となる財の検討、そして、評価に利用する変数(項目)の検討を行った。また、統計資料の収集・整理では、GIS(地理情報システム)を用いて、分析に利用することを検討しているジオデモグラフィクスであるMosaicJapanデータを整理するとともに、分析デザインの検討を行った。これらの内容は分析を実施するための基本的な情報の収集と整理であり、これらの情報を活かして次年度に具体的な評価・分析を実施する計画である。なお、当該期間に、本研究と密接に関連する研究論文として3件の論文(安全安心、ジオデモグラフィクス関連)を発表した。これらの成果も活かして次年度以降の研究を推進したい。
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