研究概要 |
酸化ストレス応答に関わる遺伝子群Keap1,Nrf2の遺伝子を欠損させたノックアウトES細胞を樹立して、酸化ストレス下での応答性を解析することにより、Keap1-Nrf2を介した酸化ストレスのメカニズムを解明することが本研究の目的である。今年度はKeap1ヘテロマウス同士の掛け合わせ、およびNrf2ヘテロ同士の掛け合わせから得られた胚盤胞からES細胞を樹立し、genotypeの判定によりKeap1ノックアウトES、Nrf2ノックアウトES細胞をそれぞれ樹立した。樹立したES細胞は野生型と同様にES細胞様の形状を維持し、幹細胞としての増殖能を保持していた。現在、胚様体形成によるES細胞分化系を行い、これら変異ES細胞の分化能を調べている。さらにノックアウトES細胞を野生型ES細胞と共培養することにより正常細胞と変異細胞の間での相互作用を解析する。あらかじめ変異ES細胞にGFPを導入し変異ES細胞を蛍光ラベルする。共培養した後、GFP標識により変異ES細胞を野生型ES細胞からFACSを用いて分離した。共培養前後で変異ES細胞の性質が変化したかどうかマイクロアレイで網羅的に遺伝子発現の解析を行っている。またさらに酸化ストレス/低酸素応答モニターマウスの作製を試み、in vivoでの酸化ストレスを受けている領域を同定し、酸化ストレス/低酸素応答に関わる幹細胞ニッチの領域の同定とその組織学的、生化学的解析を現在行っている。
|