研究課題
microRNA(miRNA)の中にはtumor suppressorとして機能するものがあり、それらは発がんやがんの進展に伴って発現が低下することが報告されている。申請者はこれまでに独自の二次構造を持つDecoy RNA(Tu DRNAと名付けた)を細胞内で発現させ、標的とするmiRNAを特異的に高効率、長期間阻害する手法を開発してきた。本研究では、この手法の改良を進めるとともに、本手法を用いてがん細胞の増殖能や転移能といった性質に深く関わるmiRNAを同定し、その機能を解明することを目的とする。前年度においてmiR-200 familyに対する、改良型TuDRNAを発現するレンチウイルスベクターを大腸がん上皮細胞であるHCT-116細胞に導入し、TuD-miR200安定発現細胞を作製した。この細胞について形態や遺伝子マーカーを解析したところ上皮-間充織転換(EMT)が誘導されていた。そこで本年度においては、このTuD-miR200安定発現細胞について細胞増殖能および軟寒天中でのコロニー形成能を解析した。この細胞がEMTを起こしていることから、増殖能や足場非依存性といった点において増悪化しているものと思われたが、細胞増殖速度は低下しており、また軟寒天中でのコロニー形成能も低下していた。さらに文献情報を基に20種程度のmiRNAを選定し、これらに対するTuDRNA発現ベクターをそれぞれ作製した。現在これらのベクターを各種癌細胞に導入し、細胞増殖等への影響について解析を進めている。
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