研究課題
癌研究会癌化学療法センター基礎研究部、大阪市立大学医学部腫瘍外科、安田女子大学生命薬学講座との共同研究を行い、複数種のスキルス胃癌細胞株ならびにヒトスキルス胃癌組織を入手し、ABCG2、ALDH1などの癌幹細胞マーカーの発現とその発現制御機構に関して解析を行った。スキルス胃癌細胞内には一定の確率でABCG2発現細胞、もしくはALDH1陽性細胞が存在することが確認された。これらの細胞群は、腫瘍形成能に長け、自己複製能を有するなど、癌幹細胞様の性格を有していることを発見した。さらにABCG2遺伝子レベルやALDH1遺伝子の発現レベルは、TGF-betaにより負に制御されていることがわかった。特にクロマチン免疫沈降実験から、スキルス胃癌細胞では、TGF-betaの下流で転写因子SmadがABCG2遺伝子のプロモーター領域もしくはエンハンサー領域に直接的に結合することで、この遺伝子の転写が調節されていることも見出された。またヒトスキルス胃癌原発腫瘍組織では、Smadの発現レベルとALDH1の発現レベルが逆相関していることも判明した。次にcDNAマイクロアレイから、スキルス胃癌中のALDH1陽性細胞の遺伝子発現をプロファイリングし、ALDH1陽性細胞の腫瘍形成に重要な遺伝子の探索を試みた。この結果、複数種のスキルス胃癌細胞由来のALDH1陽性細胞ではREG4遺伝子の発現レベルが亢進していることが判明した。ALDH1陽性細胞に発現しているREG4をノックダウンすることで、ALDH1陽性細胞の造腫瘍活性が大きく低下することから、REG4が新規分子標的となるとことが示唆された。
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Upsala Journal of Medical Sciences
巻: Vol.117、No.2 ページ: 143-152
DOI:10.3109/03009734.2011.638729
Journal of Pathology
巻: (掲載確定)(印刷中)
10.1002/path.4020
American Journal of Pathology
巻: 179 ページ: 2920-2930
10.1016/j.ajpath.2011.08.022
http://beta-lab.umin.ac.jp/