研究課題/領域番号 |
22700883
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
村上 雅尚 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (80571017)
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キーワード | Nm23-H1 / MALDI-TOF-MS / 癌転移抑制 / 細胞移動 |
研究概要 |
本研究は癌転移抑制蛋白Nm23-H1の細胞内標的分子の同定を目的とする。実施計画に基づきproteomics解析(N-末端アミノ酸シーケンス法は高知大学農学部総合研究センター,MALDI-TOF-MS解析は高知大学医学部総合研究センターにて)を行い、80種の標的蛋白質候補リストを得た。80候補蛋白質のうち転移抑制に直接関わると考えられる細胞接着分子、およびNm23-H1と同様にkinase活性を有する蛋白質で遺伝子として既にクローニングされているものに焦点を絞り計31種類に絞りこんだ。これら分子の専門的研究者に対し個別に研究協力依頼を行った。研究協力が得られた遺伝子4種9サブファミリー分子について遺伝子の分与を受けることができた。これら分与遺伝子はサブクローニングの後、in vitroにおいて各々の分子を合成・生成しNm23-H1との結合性、MALDI-TOF-MS解析の結果の信頼性について確認を行った。その結果、4種9サブファミリー分子全てがNm23-H1と直接結合する分子であり、その再現陸も確認した。従って、我々は少なくとも新規にNm23-H1の細胞内標的分子として4種9サブファミリー分子の同定に至ったと結論づける。現在4種9分子のうち2種5分子についてNm23-H1との分子間結合による生物学的、生化学的意義および癌細胞の転移・転移抑制能についてそのメカニズム等の詳細を解析中である。これらの研究成果は論文や学会での発表に向け現在準備中である。また、proteomics解析で挙げられたその他の蛋白質候補についてもNm23-H1の標的分子の可能性として期待できるものと考えており、順次同定・解析に向け進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的である細胞内標的の同定という点では既に4種9サブファミリー分子の同定に至っており目標に向け進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今報告までに同定に至った分子は標的候補として挙がった分子数の5%、絞り込んだタンパク分子総数の13%に相当する。数字的には少ない感があるが、これは研究協力の了承が得られ遺伝子分与を得ることができたものにおいてのみ確認実験が遂行された。そして確認が取れたものを同定とみなしたためである。今後は研究協力の同意を得ることも容易でないことから、同定に至った分子についてより詳細を明らかにすることに重点を置き、Nm23-H1によるがん転移抑制のメカニズムの解析を進めていく予定である。
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