研究課題
本研究は抗体医薬の抗がん剤効果が、がん組織のどこで、どのように行われるのか、を超高空間位置精度で3次元的に可視化・解析し、安価で高い薬効性を持つ抗体医薬品開発へ応用することを目的とする。抗体医薬品のイメージング法には、(A)独自のin vivo蛍光ナノイメージング(共焦点3次元顕微鏡)に加え、(B)ビブラトーム切片のex vivo蛍光ナノイメージングと(C)マイクロX線CTイメージングを行う。(A)では組織表層から50μmの深度までの3次元情報を9nmの位置精度で高速(33ms)に取得可能であり、(B)では(A)がカバーできない組織深部の3次元情報情報を高精度・高速で取得可能であり、(C)では50μmの分解能でがん組織全体の経時変化を3次元的に捉えることができる。従って、3つのイメージングデータを発展・統合することで、抗体医薬品の分布や抗体依存性細胞傷害活性の詳細をnmからmmレベルで経時的に3次元解析することが可能となる。(A)と(B)に関して、両者で用いる蛍光ナノイメージング装置はすでに構築済であるが、(B)で用いるビブラトーム切片について、切片調製法や切片中のがん細胞活性などは未解決であった。そこで微小管結合蛋白質にGFPを融合した細胞株を新たに調整し、この細胞で担がんマウスを作製した後、がん組織が約1cmになったところで、組織を摘出した。その後、摘出組織をFBSを含む培地中でビブラトームにより50μm厚に切片化し、蛍光ナノイメージング装置で調べた結果、微小管活性を失わないで切片化することに成功した。またCT用の造影剤として、金をシリカコートした粒子開発成功した。現在のところ、マウスにおいてこの粒子による大きな毒性はみられないため、CTイメージングに有効であると考えられる。以上の22年度の研究成果を通して、(A)-(C)の統合的イメージングの準備状況に進展がみられたので、23年度は抗体医薬の抗がん剤効果イメージングをさらに推し進める予定である。
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http://www.med.tohoku.ac.jp/org/contribute/107/index.html