本研究は「抗体医薬の抗がん剤効果が、がん組織のどこで、どのように行われるのか」を超高空間位置精度で3次元的に可視化・解析し、安価で高い薬効性を持つ抗体医薬品開発へ応用することを目的とする。抗体医薬品のイメージング法には、(A)独自のin vivo蛍光ナノイメージング、(B)ビブラトーム切片のex vivo蛍光ナノイメージング、(C)マイクロX線CTイメージングのそれぞれを実施し、各イメージングによるデータの統合的な解析を行う。 (A)に関して、独自抗体医薬や既製抗体医薬を蛍光ナノ粒子で標識した後、担がんマウスに静脈注入し、in vivo蛍光ナノイメージングを行った。その結果、腫瘍血管内や腫瘍間質組織内の抗体医薬の動態や分布を超高空間位置精度で理解することができた。抗がん剤効果をさらに詳細に可視化するために、免疫系細胞の単離を行い、担がんマウス体内での細胞動態を解析中である。 (B)に関して、昨年度、がん細胞め生理活性を損なわずに切片化する方法を開発した。現在(A)の実験系で使用した腫瘍組織の切片化をビブラトームを用いて行い、抗がん剤効果のex vivo蛍光イメージングを行なっている。 (C)に関して、昨年度、CT用の造影剤として、金をシリカコートした粒子開発に成功した。本粒子を担がんマウスに静脈注入し、CTイメージングを行った結果、腫瘍組織内の新生血管の分布に応じたCT造影像を得ることに成功した。現在、この造影剤と抗体医薬を結合させた機能的なCT造影剤の開発を試みている。 現在、各イメージング法で抗体医薬の抗がん剤効果の可視化を進めるとともに、各データの統合的な解析を行なっている。
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