進行再発大腸がんの予後を改善するため、進行再発大腸がんの予後を予測する方法を開発することを目的とする。具体的には、マイクロアレイを利用した網羅的遺伝子発現解析を行い、 1. 進行再発大腸がんの予後を予測可能な遺伝子発現プロファイルを作成する 2. 進行再発大腸がんの各標準的化学療法レジメンについて、治療効果を予測する遺伝子発現プロファイルを作成する 3. 上記予測法の臨床応用を目指し、Multiplex RT-PCR法を用いたより簡便で安価な診断方法を開発する2011年度末までに、計100例の進行再発大腸がん検体を収集し、網羅的遺伝子発現解析を行った。教師なし階層的クラスタリング解析および主成分分析の結果、大腸がんは2つの遺伝子群によってそれぞれ2つに分類することが可能であり、計4つのサブタイプに分類されることが示された。一つ目の遺伝子群で分類すると、大腸がんの標準治療薬の一つである抗EGFR抗体薬の治療効果が異なることが示された。また二つ目の遺伝子群で分類すると、FOLFOX療法やFOLFIRI療法などの古典的殺細胞性抗癌剤の治療効果が異なることが示された。また、既存のバイオマーカーであるKRAS遺伝子変異の割合がサブタイプ間で異なることが示された。これらの結果から、抗癌剤治療の治療効果を予測可能な新規バイオマーカーとして2012年3月10日付けで特許申請を行った(特願2012-053883)。また、研究成果について現在英文論文として投稿中である。 現在、前向き臨床試験(臨床第II相、臨床第III相)の付随研究として、本研究成果を検証する研究を準備している所である。
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