研究課題
現在多くの研究グループが早期診断を目指した血中の腫瘍マーカー候補ペプチドの探索を行っている。しかし、そのほとんどが血清・血漿からの直接探索したものである。血清・血漿を直接対象とした場合では、タンパク質・ペプチド存在量の広いダイナミックレンジや、複雑な修飾・切断(消化)パターンから、微量なマーカー候補タンパク質・ペプチドの探索をより困難なものとしている。そこで本研究では最初に培養上清から癌細胞から分泌・逸脱する診断マーカー候補タンパク質・ペプチドの探索・同定を行う。培養上清であれば、血清・血漿よりもマーカー候補タンパク質・ペプチドが濃縮されていると考えられる。その後、患者血清・血漿を用いて分泌タンパク質・ペプチドを定量評価していくことで、臨床基礎研究(診断マーカー候補ペプチドの多施設臨床試験、簡単なアッセイ系の構築、既存のマーカーとの比較)をとおして癌の早期診断、治療方針の検討、再発予測を行うための診断薬、診断法を開発することを最終的な目的とする。本年度は安定同位体標識した膵癌感受性株、耐性株のホール細胞抽出物のタンパク質の比較を行った。2倍以上の増減を示す120タンパク質を同定することができた。これまでに、抗体を使いバリデーションを行っており、20タンパク質で再現性が取れている。また、膜タンパク質の比較解析においても2倍以上の増減を示す30タンパク質を同定することができた。現在ターゲットタンパク質のsiRNAを用いた実験で抗癌剤の耐性低下がみられている。培養上清については、10%FBS添加培地・無血清培地(各分泌刺激を含む)で膵癌株、耐性株を培養して上清を取得し、質量分析計での比較解析の結果、2倍以上の増減を示すタンパク質を同定することができた。
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Human pathology.
巻: (未定)
Journal of proteomics.
巻: 75 ページ: 1803-1815
International Journal of proteomics.
ページ: 502845
International journal of proteomics.