研究課題
若手研究(B)
本研究では、悪性脳腫瘍患者組織から、グリオーマ様幹細胞(GSC)を単離・樹立することに成功し、これらの細胞を用いて、血清による分化誘導前後の特異的発現分子群を融合プロテオミクス法により解析した。GSCは神経系幹細胞用培地を用いて長期培養が可能であること、がん幹細胞に特異的なsphere形成能、および神経幹細胞、および脳腫瘍関連マーカーを発現こと、またこれらが免疫不全マウス頭蓋内移植モデルにて、glioblastomaを形成することを確認した。これらの細胞を用いて、DNAアレイおよびプロテオミクス差異解析法(iTRAQ法/2D-DIGE法)にて30000分子群の定量的同定と統合データマイニングを行い、GO解析に供したところ、分化誘導時における特異的発現亢進分子群として細胞接着に関与する分子群が注目された。細胞生物学的検証実験の結果、GSCの分化誘導により細胞外マトリックス(ECM)やインテグリンを含む接着因子群の発現が顕著に亢進しており、これらの阻害剤で分子機能を抑制する事によって、GSCの分化誘導が顕著に抑制されることが明らかになった。以上のことから、GSCは分化誘導時においてECMを自己分泌し、分化誘導のための特異的微小環境を形成する可能性が示唆された。
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